不動産ポータルサイトや販売図面を見ると、表面利回りが大きく表示されています。

4% 7% 8% 10%

数字が大きいほど、良い物件に見えるかもしれません。

ただ、不動産投資の現場では、表面利回りそのものが話題になることはそれほど多くありません。

もちろん確認はします。ただ、それだけで投資判断をすることはありません。

なぜでしょうか。

理由はシンプルです。表面利回りは、家賃収入しか見ていないからです。

例えば、5,000万円のアパートがあるとします。

年間家賃収入が400万円の場合、表面利回りは8%です。

では、実際にこのアパートはいくら利益を生み出しているのでしょうか。

空室損失、固定資産税、管理費、修繕費、保険料など、実際には様々な費用が発生します。

仮に経費が100万円だとすると、

400万円 − 100万円 = 300万円

になります。

この300万円が、NOI(Net Operating Income:営業純利益)です。

私は以前、アセットマネジメント(AM)の仕事をしていました。

現場で話題になるのは、

「賃料を上げられないか」

「空室を減らせないか」

「コストを下げられないか」

といったことでした。

つまり、NOIを増やせるか、という話です。

誰も「表面利回りを1%上げよう」とは言いません。

言い換えると、不動産をひとつの事業として見ます。

家賃収入は売上高。

経費は営業費用。

NOIは営業利益。

これは、会社経営とよく似ています。

だからプロは、まずNOIを見ます。

表面利回りが何%かの前に、「この不動産はそもそも、どれだけ稼ぐ力があるのか」を知りたいからです。

もちろん、投資判断では他にも多くの指標があります。

借入金とのバランス、ROE、IRRなど、見るべき数字はたくさんあります。

ただ、不動産投資の世界で最初に確認する数字を一つ挙げるとすれば、私はNOIだと思います。

それは、不動産そのものの実力を最も素直に表している数字だからです。

ところで、利回りは高いほど良いのでしょうか。

10%の物件は、5%の物件より本当に優れているのでしょうか。

実は、その話も意外と単純ではありません。

それはまた別の機会に書いてみたいと思います。

不動産を、ひとつの見方で終わらせない。

利回りについても、同じことが言えるのかもしれません。